ハーモニー感想(ネタバレあり)

この記事には映画「ハーモニー」及び原作小説の展開、ストーリーの核心に迫る要素が多大に含まれています。

映画「ハーモニー」を観ていることを前提に書いています。観ずに読む人は





















 まず第一に尺が足りてない。小説一冊でこんなにも時間が足りなくなるかって衝撃だった。序盤の日本に戻るまでのシーンとか凄い駆け足で、話が進み始めるまで結構なペースなんだけど、それでも最後にえ、マジ?此処で終わらせたら絶対にダメでしょ?って終わり方をする。

 前述したように話が進むまでに結構なペースがあるんだけど、その中で回想されてた学生時代のトァン達のやりとりの、非常にセンシティブなシーンがカットされてる。ミァハが憎んだ世界の描写になるシーンが、映画だから散々画面に映るし良いよねみたいなノリでカットされるのは、納得できなくはないんだけど、納得しきれない。後なんかホントに謎のレズ要素がある。

 で、これが一番の問題なんだけど、エンディングへの入り方がヤバい。最後死に逝くミァハを連れて登っていくシーンが完全に消滅してるし、何よりトァンのミァハを撃つ動機がキアンと父を殺された復讐から、今の変わってしまったミァハよりも大好きだった過去のミァハを選ぶという物になってる。最後の台詞が「好きだよ、ミァハ」ってうっそだろおまえ!?このエンディングだけは流石に納得できないよ!

 語らずに演出するシーンが多くて、例えば最後ハーモニープロジェクトが起動した後の描写とか、知ってるからあーなるほどねって解るけれど、だからって納得できるシーン演出ではないし、何よりこれ映画で前知識無しに観る人は絶対わかんねえよ!

 SF小説としてキャラクターの要素があまり描かれていなかった物が、良いのか悪いのか映画では大分焦点を当てられていて、特にキアンが顕著だった。これは良かったと思うんだけど、でもラストでキアンとヌァザを殺された恨みを吐露するシーン無くなってたら、散々キアンを描写した意味の半分は消失してない?って思うし、いやでも百合の仲良し3人組エンドとして終わらせるならそれでもいいのか…?。そのエンドが良いかは完全に別の問題だけど。

 場面ごとの見せ方はすげえ良かったし、映画にする上でストーリーの展開が少し調整されているのは仕方ないかなとも思うし、それによって大分分かりやすくなってるシーンも多かった。
 ああ映画ならではだなって思わず鳥肌が立つシーンもあったし、残酷なシーンの描写もこういう風に映すのか~やるな~って感じさせられるものがあった。

一つ一つのシーンはすげえ良かったけど、組み合わせる上でどうしても時間が足りなくてこういう結果になったのかなあと思わされるし、まあしゃあないかなって感じ。あと15分あればと思うと本当に残念で仕方ない。

 でもこの映画が公開されたからと言って原作小説が否定されるわけじゃないし、映画しか観てないって人は是非小説も読んでくれると嬉しいです。
 小説を読んでから映画を観ると微妙かもしれないけど、逆はすげえ楽しめると思います。
 観た直後の感想なんで、また落ち着いたら色々思い出してまた書くかも。
 とりあえずそんな感じで。